神が鎮まる山 天空の絶景〜大三島 鷲ヶ頭山〜

瀬戸内海のほぼ中央に位置する大三島は、日本総鎮守「大山祇神社」(おおやまづみじんじゃ)が鎮座する神の島として古来より崇められてきた。海の神、山の神、そして戦いの神として、歴代の朝廷や名だたる武将から崇敬を集め、武具甲冑をはじめとした多数の宝物が収められたことから、「国宝の島」とも呼ばれる。

大三島最高峰の鷲ヶ頭山

大山祇神社のご神体山のうちの二つが、神社の背後に聳えるピラミッド型の安神山(あんじんさん)と、大三島最高峰の鷲ヶ頭山(わしがとうさん)だ。
安神山は、麓で赤土を採取する神事が行われるなど、今なお大山祇神社との結びつきが強い山である。大山祇神社を現在地へ遷宮した際に五龍王が祀られたと伝わり、龍神の祠がある山頂は、戦前、雨乞い祈祷の場所ともなっていたそうだ。また石鎚大神の碑もあり、鎖場も存在する。麓の安神山わくわくパークから始まる鷲ケ頭山自然研究路がメインの登山道で、愛好家には人気のコースでもある。

鷲ヶ頭山の由来

鷲ヶ頭山は古くは「神野山」と呼ばれた霊峰。神野山がなぜ、鷲ヶ頭山と呼ばれるようになったのかは諸説あるが、南北朝末期に編纂されたとされる神道集「三島大明神事」に、鷲に攫(さら)われた子が万民の王となったことから、鷲にも神明の法を授け、伊予の国一宮の御殿前に社を立て鷲大明神として大切に敬った、という内容の記述があり、これに由来しているという説が有力のようだ。

多島美が堪能できる絶景スポット

そんな歴史ある鷲ヶ頭山は、標高436.5m。大山祇神社から安神山を経由し、鷲ヶ頭山の山頂までは約5kmのコース。頂上手前はかなりの急斜面で息が上がるが、振り返ると海と島々、これまで歩いてきた稜線がゆるやかな曲線を描き、その素晴らしい景色に疲れも吹き飛ぶ。山頂からは、生口島や伯方島など、芸予諸島の多島美が堪能できる。遠くに来島海峡大橋を望み、天気の良い日は石鎚山脈まで見渡せるという絶景スポット。
ちなみに、山頂近くまで車でも行くことができる。ただし、尾根伝いに続く道路は細く、離合ができない場所が多いため運転には十分注意が必要だ。徒歩でも自転車でも車でも、大三島の最高峰を制覇した達成感はなかなかのもの。機会があれば是非訪れてみてほしい。